今年の税制改正大綱は時間が例年よりもかかりましたね
そうですね。少数与党となって思い通りにはなりづらくなりました
今年の注目は103万円の壁ですかね
そうですね。一番注目されていましたので。それも含めて主な税制改正をまとめてみました
所得税編
103万円の壁
給与所得控除額の引き上げ
- 変更点
現行:55万円 → 改正案:65万円
- 適用時期
2025年1月1日から適用
基礎控除額の引き上げ
- 変更点
現行:48万円 → 改正案:58万円
- 適用時期
2025年1月1日から適用
合計所得基準 | 基礎控除額 |
---|---|
2,350万円(給与収入2,545万円)以下 | 58万円 |
2,400万円(給与収入2,595万円)以下 | 2,350万円(給与収入2,545万円)超48万円 |
2,450万円(給与収入2,645万円)以下 | 2,400万円(給与収入2,595万円)超32万円 |
2,695万円(給与収入2,890万円)以下 | 2,450万円(給与収入2,645万円)超16万円 |
特定親族扶養控除(大学生扶養控除)の創設
- 制度の概要
パート・アルバイトの給与所得者について、所得税が課税されない収入金額が103万円から123万円へ拡大されます。
改正によって給与収入123万円までは扶養控除が受けられるようになりますが、19歳~22歳のいわゆる大学生年代の親族がいる場合は、さらに給与収入150万円までは給与収入123万円と同じ控除額が受けられるようになります。
子供の収入基準 | 親の控除額 |
---|---|
123万円超150万円以下 | 63万円 |
150万円超155万円以下 | 61万円 |
155万円超160万円以下 | 51万円 |
160万円超166万円以下 | 41万円 |
166万円超175万円以下 | 31万円 |
175万円超183万円以下 | 21万円 |
183万円超190万円以下 | 11万円 |
190万円超197万円以下 | 6万円 |
197万円超201万円以下 | 3万円 |
- 適用時期
2025年1月1日から適用
人的所得控除一覧
現行 | 改正案 | |||
---|---|---|---|---|
給与所得控除 | 55万円 | 65万円 | ||
基礎控除 | 16万円~48万円 | 16万円~58万円 | ||
扶養控除 | 給与収入103万円以下 | 38万円~63万円 | 給与収入123万円以下 | 38万円~63万円 |
特定親族扶養控除 | - | 給与収入123万円超201万円以下 | 3万円~63万円 | |
配偶者控除 | 給与収入103万円以下 | 38万円 | 給与収入123万円以下 | 38万円 |
配偶者特別控除 | 給与収入103万円超201万円以下 | 1万円~38万円 | 給与収入123万円超201万円以下 | 1万円~38万円 |
障害者控除 | 給与収入103万円以下 | 27万円~75万円 | 給与収入123万円以下 | 27万円~75万円 |
寡婦控除 | 給与収入103万円以下 | 27万円 | 給与収入123万円以下 | 27万円 |
ひとり親控除 | 給与収入103万円以下 | 35万円 | 給与収入123万円以下 | 35万円 |
勤労学生控除 | 給与収入130万円以下 | 27万円 | 給与収入150万円以下 | 27万円 |
子育て支援税制
生命保険料控除の拡充
- 変更点
23歳未満の扶養親族がいる場合の『新生命保険料に係る一般生命保険料控除』の控除限度額
現行:4万円 → 改正案:6万円
ただし、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額は現行通り12万円
- 適用時期
2026年のみ
住宅ローン控除の拡充
- 変更点
夫婦いずれか40歳未満あるいは19歳未満の扶養親族を有する個人が、2025年1月1日から12月31日までに入居した住宅のローンの控除対象借入限度額は下記のとおり上乗せされます。
住宅の区分 | 現行 | 改正案 |
---|---|---|
認定住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 4,000万円 |
- 適用時期
2025年のみ
リフォーム税制の延長
- 変更点
夫婦いずれか40歳未満あるいは19歳未満の扶養親族を有する個人が、2025年1月1日から12月31日までに入居した住宅リフォームに係る工事代金の10%を所得税から控除できる制度が1年間延長されます。(限度額25万円)
- 適用時期
2025年のみ
個人型確定拠出年金(iDeCo)の拡充
- 変更点
対象者 | 現行 | 改正案 |
---|---|---|
第1号被保険者(自営業者等) | 6.8万円 | 7.5万円 |
企業年金加入者 | 2万円 | 6.2万円※1 |
企業年金未加入者 | 2.3万円 | 6.2万円 |
60歳以上70歳未満※2 | - | 6.2万円 |
※1 6.2万円から確定給付企業年金の掛け金を控除した金額
※2 現行の個人型確定拠出年金に加入できない者のうち、個人型確定拠出年金の加入者・運用指図者であった者又は私的年金の資産を個人型確定拠出年金に移管できる者であって、老齢基礎年金及び個人型確定拠出年金の老齢給付金を受給していない者
退職所得控除額の利用制限
- 制度の概要
退職金を受給した年の前年以前4年内に他の退職金を受け取った場合は、退職所得控除の計算上、勤続年数の重複を除いて計算します。
また、確定拠出年金(DC)一時金を受け取った年の前年以前19年内に他の退職金を受け取った場合にも、退職所得控除の計算上、勤続年数の重複を除いて計算します。
- 変更点
退職金の支給を受ける前に、DC(確定拠出年金)一時金を受給している場合、退職所得控除を縮小する対象期間が長くなります。
現行:DC受給の前年以前4年内 → 改正案:DC受給の前年以前9年内
- 適用時期
2026年1月1日以降にDC一時金を受け、同日以降支払いを受ける退職金から適用
公的年金控除と給与所得控除の併用制限
- 制度の概要
年金受給者で給与所得でもある者は、従来は制限がなかったが、公的年金控除額と給与所得控除額の合計額の上限が280万円となります。
- 適用時期
未定
法人税編
中小企業軽減税率の延長
- 制度の内容
年間800万円以下の課税所得に対する法人税の税率を15%(本則19%)を2年間延長されます。
ただし、グループ通算制度法人は除く
- 適用時期
2025年4月1日以後に開始する事業年度から適用
防衛特別法人税の創設
- 制度の概要
防衛力強化に係る財源確保のため、防衛特別法人税が創設されます。
防衛特別法人税額は、次の算式に基づき計算されます。
((所得税額控除等前の)課税法人税額 - 500万円)× 4% - 外国税額控除等の税額控除
中小企業の場合、課税所得約2,400万円までなら課税なし
- 適用時期
2026年4月1日以降開始の事業年度から適用