非居住者と定額減税

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2024年6月より定額減税の月次減税事務が始まっていますが、年の中途で海外赴任になる従業員の場合に、何か注意すべきことありますか。

赴任期間が1年以上か、1年未満かによって月次減税事務や年末調整事務の対応が異なります。

目次

定額減税の概要

2024年度税制改正に伴い、2024年分所得税、住民税について定額による特別控除(定額減税)が実施されることとなりました。

定額減税額は、本人1人あたり所得税3万円、住民税1万円で、配偶者や扶養家族についても1人につき同額の減税となります。

ただし、合計所得金額が1,805万円(給与収入の場合、年収2,000万円)以下で、いずれも居住者のみが対象です。

赴任期間1年未満の場合

海外赴任期間が1年未満の場合、出国後も居住者のままのため、出国後もその従業員に支払った給与から源泉徴収義務が生じます。

定額減税の月次減税事務は2024年6月1日に在職し、扶養控除等申告書を提出している居住者が対象となるため、出国までの月次減税事務で控除しきれなかった減税額が残っている場合には、出国後に支払う給与から引き続き月次減税事務を実施します。

この場合は、2024年12月に通常の年末調整減税事務を行います。

また、出国後に海外の子会社等から支給された給与がある場合は、その給与には源泉徴収義務は生じないため、定額減税の月次減税事務や年末調整減税事務は行わないが、居住者が海外で得た所得は日本の課税対象となるため、従業員は各自国内の会社から支給された給与と合算して確定申告を行うことになります。

赴任期間1年以上の場合

海外赴任期間が1年以上の場合、出国後は非居住者になるため、6月1日以降に出国した場合は、出国時に年末調整減税事務が必要となります。

年末調整減税事務の減税の対象となる配偶者や扶養親族は、出国時の現況で判定します。

非居住者については、国内での勤務に対する給与等のみが日本の課税対象のため、出国時の年末調整減税事務で定額減税は完了となります。

また、出国後に海外の子会社等から支給された給与がある場合は、その給与は原則国内源泉所得ではないため、定額減税の月次減税事務や年末調整減税事務は行われません。

非居住者の役員の場合

海外赴任期間が1年以上の場合、出国後に支給される給与等は国内源泉所得ではないため、原則源泉徴収も不要になります。

しかし、国外勤務の場合であっても、国内の役員として支給される役員報酬などは国内源泉所得となり、源泉徴収の対象となります。

この場合でも、非居住者に支払われる給与であるため、出国時の年末調整減税事務によって定額減税事務は終了します。

帰国時の対応

2024年中に海外赴任から帰国し、非居住者から居住者となった従業員がいる場合は帰国の時期によって定額減税事務の処理がことなります。

2024年6月1日までに帰国した場合

6月1日までに帰国して、扶養控除等申告書を会社に提出している場合は、6月支給の給与から月次減税事務、12月に年末調整減税事務が行われます。

2024年6月2日以降に帰国した場合

6月1日時点では非居住者であったため、月次減税事務は行われず、12月の年末調整減税事務や確定申告で定額減税を行うことになります。

まとめ

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海外赴任期間従業員ステータス月次減税事務年末調整減税事務
1年未満居住者行う行う
1年以上非居住者出国後は行わない出国時に行う
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