前回の話

 

3.決算書や収支見通しを見直した際のA社での《発見》

(2)意外に見つかる日常管理の《見落とし》

ところが、こうしたチェックの中で、売掛金の多さばかりではなく、内容が今ひとつ明瞭ではない仮払金や貸付金があることを、社長ご自身の目で見つけられたのです。

 

仮払金は、社長の交際費で領収書がとれないのを、一旦仮払いに置いたまま、忘れていた?ものです。

 

貸付金は、以前システム販売をした先から、売り掛け回収ができなかった際、社長が『必ず回収する』という意気込みを形にするため、その取引先への《貸付》扱いにしたものでした。

 

意外に見つかるものだなあ。粉飾と言えば言えなくないものが…。こういうのを金融機関に見つかると、信用してくれなくなるわけですね』とA社長は笑っておられました。

 

もちろん粉飾の意図などなかったため、笑っていられるのですが、金融機関から指摘された後では、意図より結果が優先されてしまうのです。

 

誤解の素です。

 

更に、売掛金の多さは問題でした。

 

(3)売掛金削減さえできれば…

A社では、システムの受注を受け、料金を含めた契約が確定した時に、売上げを計上しています。

 

しかし、顧客は納品後、システム異常がないことを確認した後に支払いをしたがるために、回収が遅れるのです。

 

特にA社の担当者がミスをしたような場合、顧客はなかなか支払いに応じない傾向もあります。

 

社長は、『金融機関から融資を受けるためというより、この売り掛け自体を減らせば、借りる額も少なくて済む』と《数値を詳しく見れば見るほど思い知った》と笑っておられました。

 

そこで直ちに社内の営業会議を開き、入金条件改善策を練りました。

 

社長いわく『あまりよい案が浮かばなかったけれど…』と前置きをしながら、今後は受注時に前金として、受注額の半額以上を入金してもらう方針を作ったそうです。

 

半額《以上》とするのは、小額システムは全額前金を原則にしたからです。

 

『もちろん、すべてのユーザーが前金の条件を呑んではくれないでしょうが、はっきり意思表示をしてご理解いただきながら、一つ一つ進めて行きますよ』と社長は言われていました。

 

そのことは、今後の収支見通しに、コメントを含めて織り込んでおくよう、お勧めしておきました。

 

金融機関は、こうした資金回収努力を歓迎するものだからです。

 

『いや、金融機関のためではなく、わが社のためです』と社長はまた、笑われました。